大学の演劇部の次回公演で、雀士役を務める事になりました。雀荘に出入りした事もなければ、麻雀を打った事もありません。ゲームの内容などは、チンプンカンプンです。最初、演出のF君から、雀士である役柄を聞いた時、「なんで俺なんだよ」と、思わずこぼしてしまいました。もっと麻雀を打ちそうな奴がいっぱいいるじゃねぇかよと、文句を言ってみましたが、「イヤならいいよ」と、返事が返ってくるだけで、他の役柄に変更してもらえる気配はこれっぽっちもありませんでした。麻雀の「ま」の字も知らないど素人が、半年後の公演までに、雀士のような雰囲気を身にまとえるようになるのでしょうか?とりあえずは、駅前の雀荘の扉を叩いてみましたが、最初の1件目のお店では素人さんはお断りだよと、煙たがられてしまいました。駅の反対側に、高齢者が出入りする「健康麻雀」を売りにした、麻雀初心者が出来りし易いようなお店があると情報を入手したので、さっそく潜入してみると、1件目に門前払いを受けたお店とは、だいぶ雰囲気の違うフレンドリーな雀荘でありました。最初は、なんとなく皆さん、年齢の違う私に構えるように、避けるような雰囲気だったのですが、正直に演劇部の役作りの為に来ている事を話してみたところ、雀荘の店長から、快く麻雀の手ほどきをしてくれるようになりました。まずは、牌を扱う手さばきを観察させてもらう事にしました。独特な手の動きがあります。演劇部の次回公演の中では、雀士役をもらいましたが、実際には麻雀を打つシーンは、台本にはないのです。けれども、やはり雀士役を貰ったからには、麻雀を打てるくらいの雰囲気は醸しだしたいと思い、大学の講義の帰りには、毎日のように雀荘に通わせてもらいました。